「初恋と不倫」坂元裕二

「不帰(かえらず)の初恋、海老名SA」「カラシニコフ不倫海峡」の二編。
それぞれ二人の男女の往復書簡(たぶんメール)の形をとって物語は進んでいく。
台詞だけで、脚本のようにト書きがない。でもト書きがなくても、ちゃんと成立するのがすごいと思った。
舞台に言葉だけがあって、進んでいく二人劇のよう。

蜜蜂が一生かかって集められる蜜の量はスプーン一杯ほどである」といった文章があったが
あれは本当なのだろうか。
もし私が蜜蜂で、それを知ったら、虚しいと思うかもしれない。
蜜蜂なんかやめたくなるかもしれない。
だけど生きてゆく限り蜜蜂はやめられない。
私が人間として生きていて、蜜蜂が蜜蜂として生きている。
そこには大きな違いがあって、その身の上が入れ違うことなどありえない。
だけど本当のところ、どうなのかなと思ったりもした。


スプーン一杯の蜜さえ集めることも出来ずに人は逝く。
そしてスプーン一杯の蜜を集めたことさえ誇ることも悲しむこともなく
蜜蜂は死んでゆくのだなあ、とか、
本筋とは全然関係のない台詞で立ち止まること多々あり。
もちろん本筋も面白かった。
どこか壊れかけていて、だけど切なくて。
そんな小説でした。

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# by soranosanngo | 2017-09-08 12:04 | 読書ノート | Comments(0)