手に取ると、著者の手の温もりが伝わってくるように思えるのは
 手作りならではなのかな。
 ぺーじをめくるたびに、つられた赤いビーズが揺れる。
 途中にはさまれたうすいトレーシングペーパーから透ける和紙の美しさ。
 詩作品から、そして詩集本体からも、伝わってくるのは繊細でいてリリカルな作者そのものという気がする。

 『浮遊する まなうらの昏さ/湛えるものを失った耳朶の薄さが/あなたへの距離をはかる』
こんな出だしから始まる表題でもある詩「まなうら」は、生きることがふるえているよう。

「夏の氷室」のなんともえないしーんとした冷たさがいい。
『それは ゆっくりと しんでいくことですね』
氷室には真の意味で透明な、透明すぎる氷が在って、ここでも私は生と死を重ねてしまう。

「約束」はとても好きな詩なので、またここで読むことが出来て幸せ。

「横浜 外国人墓地」

 横浜は私にとってなじみのある場所で、外国人墓地も何度か訪れた。
 外国人墓地は石畳の坂を登ったあたりだったろうか。
 見慣れた日本の墓地とは違う様相だったけれど
 そこに漂う静謐な空気が、人でにぎわう通りのそれとはあきらかに違っていた。
 その横を通り過ぎる時、ここに埋葬された人の人生をちらりと思ったことを覚えているのはなぜだろう。
 死というものが何よりも遠かった若い私。
 『風は/預けたものの結び目の/小さな綻びから/吹いてくる』
 この詩の終蓮を読み、あの時も吹いていただろう横浜の海風を
 とても近くに感じた。
あの頃私に吹いていた未来からの風が、巡り巡って過去から吹いてくる、そんな想いもして。

 まーさん、素敵な詩集を(お土産も♪)ありがとうございました。
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# by soranosanngo | 2017-05-02 14:10 | 読書ノート | Comments(0)