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ありがとう

蟹鍋の
シメは雑炊に限ります
独断ですが
鍋を預かる私の特権なので
異議は認められません

鍋の湯に
眼に見えないほどの
小さな粒子になって
溶け出した
蟹の
本当の味がします

ほぼ
その身は食いつくされて
姿形は見えないのに
食べたら
それは
紛れもなく
蟹雑炊でした

「見えなくなっても、ここにいるよ」
白い米粒
ひとつひとつに
蟹の伝言が
書かれています
その手紙は
黄色く
いかにも善良そうな
卵という
封筒に包まれて
読み解かれる時を待っています

今夜
我が家の
食卓は
独裁国家でありますが
カニの愛で満たされているのです
by soranosanngo | 2012-01-08 22:13 | | Comments(0)