詩集「とわうた」西原真奈美

2014年のクリスマスプレゼントにいただいた詩集。
うすいトレーシングペーパーから、微かに見て取れる桜模様。
西原さんの手作りであるこの詩集のそんな表紙は、彼女のセンシティブな心模様そのもの、という気がする。

主婦ならではの目線が私自身をもシンクロさせる、「濡れたうろこ」。

「かげろう橋」の、生と死の境界線のような場所で
せめて
うたかた を
とことわ に変えたかった

けれど嘆くでもなく、みしみしとその橋を渡ってゆくのだ。

「夜が始まる場所から」の一節
上り階段なのか 下り階段なのか 分からなくなる
では
それでも生きていかねばならないことへの
苦しさを滲ませる。
それに思い当たる読者もいるのではないだろうか。
もちろん私もその一人。

「春嵐」は、詩と思想投稿欄において、入選された、私の好きな作品。
いっけん穏やかな春という季節に、内包された嵐のような命の重さを、鮮やかに描いてみせる。

「毛糸玉」に込められた愛猫の記憶。
そういえば猫と毛糸玉といえば、私も過去に「雨とプッチと毛糸玉」という詩を書いたことがある。
私が実家にいる頃、家に迷い込んできて、そのままいっとき居着いた猫を思い出して、書いたもの。あるひ、家出して、そのまま行方知らずになった。
西原さんに愛された猫は、とても幸せな猫であったのでしょう。
それはとりもなおさす、猫が愛した西原さんも、幸せな人であるのだと思う。

最後のページに記された言葉はまるで
パズルのようでいて
まじないのようでいて
ふと口ずさんでしまうような
ひらがなのうたのようでいて
どこかこの詩の核にある「弔い」に
つながっているような気がしてならない。

とことわのうたかたを
うたかたのとことわを

真奈美さん、素敵な詩集をありがとうございました。
勝手な感想をおゆるしください。

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by soranosanngo | 2015-02-18 14:21 | 読書ノート | Comments(0)