グレープフルーツ

売れ残りの
グレープフルーツを
レジを閉める前に必ず買うの

これは家に帰るために必要な
いっときの お守りみたいなものよ

グレーフルーツって
十三番目の月みたいじゃない?
完全な円じゃなく
どこかが
すこうし
不器用だからゆがんでる

気配を感じてふりむいてみれば
空の月だった
月もかけがえのないひとりぼちだから?
キミも孤独なんだねって手をふった

あばらやの部屋の電気のスイッチを押すまで
月を胸にかかえてたら
それだけでさみしくないの

孤独と孤独は掛け合って
もしかしたら
二倍に増えるかもしれないけど
引き合って
優しくなることもあるんじゃないかな

翌朝 冷蔵庫の中で
略してGPはすっかり果実に戻ってて
あたしはむしゃぶりつくように
食べるの
食べてしまえば
いろんな事情が
剥かれた皮みたいに
ひどく軽くなるを知ってるわ
ああ、すっぺぇ!

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この詩は第十六回白鳥省吾賞に初めて応募して、最終選考に残るも、あえなく散った作品です。
こんなこと言うと誤解されそうですが、評価は評価であって、自分自身のこの詩の愛おしさについてはなんら変わりないです。もちろん落選するには理由があるのだし、ここからもっと精進していかねばという気持ち前提で。
悔しかったら、自分を磨け!(by ハルキ ムラカミ)
磨き方は自らのやり方で!(by さんご)
付け加えておけば、最優秀賞をお取りになった、花潜幸さんの作品、とても素晴らしいものでした。

今、服用している薬のせいで、グレープフルーツは食べることが出来なくて、そうなると無性に食べたくなるというのは、愚かな人間のさがなのでしょうか。
それの代用といってはなんですが、無印良品のフレグランス「シトラス」を愛用したりして。甘くはない爽やかな、すこし苦味が感じられるような匂い。変に残らないのもグッド。
柑橘類一般の果実の匂いをかいでいる時は、鼻腔もろとも心も至福に包まれます。
本物でなくてはならないということは時にとても苦しいもの。
詩中のグレープフルーツもまた月の代用品であったのかもしれないし、代用品さえなかったとしたら、きっともっと人生は悲しい。

学生時代(まだコンビニがなかったと思う)夜10時まで営業しているスーパーでバイトしてた時の体験を基にしております。

2015.2.22

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Commented by utakatarennka at 2015-03-01 20:51
珊瑚さん、「グレープフルーツ」読ませていただきました。
グレープフルーツの黄色い丸を13番目の月とみたいと語るところがとてもユニークな発想で私は素敵だと思った。
グレープフルーツが愛しく思えるこの詩は、心の届く言葉がいっぱいでした。
Commented by soranosanngo at 2015-03-01 22:20
utakatarennkaさん、コメントありがとうございます。
グレープフルーツって、それまであんまりちゃんと食べたことのないハイカラな果物だったので、きっとはまっちゃったんだと思います。
あのなんともいえない濃い酸っぱさと香りが、大好きでした。
by soranosanngo | 2015-02-22 14:18 | | Comments(2)