詩「常春」
2017年 04月 19日たとえばどんな辺境にいようとも
つながってしまうダイヤルがある
現実は
いつだってそこからは遥か遠い地だ
マニキュアを塗る
刷毛の先から
凍えた粒子のせいで
すばやく固まってしまう、
そんな部屋に
ひからびてしまって
それでも
かろうじて生きている
へその緒を手にすれば
緒の先が伸びていく
その先で
黒電話の受話器から
若いままの母の声が
少しくぐもって聴こえてくる
きゅうくつなことが
安心だった
まだわたしが卵だったころ
水はいつだってちょうどよくぬるんでいて
そこは
自分自身との境界さえない春でした
by soranosanngo
| 2017-04-19 09:11
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