詩「熾火」
2017年 06月 22日汽笛のような音が聴こえて
夜は
とても長くなる
6月の匂いのするシャンプーは
猫には不評のようで
寄り付かれない人間は
孤独であったことに今更に気づく
誰がゆくのだろうこんな真夜中に
それとも誰もゆかないのだろうか
ニホンオオカミは絶滅なんかしちゃいない
考えてごらんよ
日本にはまだまだたくさんの森がある
野生はしぶとく生きながらえていくのさ
遠吠えのような音が聴こえて
牙さえ失ったわたしは洞窟でおびえ
小さな液状の熾火だけを
たったひとつの拠り所にしている
脆弱な生き物が
安らかな眠りつくには
心拍数が高すぎて
夜は
ますます深くなる
by soranosanngo
| 2017-06-22 12:37
| 詩
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