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詩「熾火」

汽笛のような音が聴こえて
夜は
とても長くなる

6月の匂いのするシャンプーは
猫には不評のようで
寄り付かれない人間は
孤独であったことに今更に気づく

誰がゆくのだろうこんな真夜中に
それとも誰もゆかないのだろうか

ニホンオオカミは絶滅なんかしちゃいない
考えてごらんよ
日本にはまだまだたくさんの森がある
野生はしぶとく生きながらえていくのさ

遠吠えのような音が聴こえて
牙さえ失ったわたしは洞窟でおびえ
小さな液状の熾火だけを
たったひとつの拠り所にしている
脆弱な生き物が
安らかな眠りつくには
心拍数が高すぎて
夜は
ますます深くなる

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by soranosanngo | 2017-06-22 12:37 | | Comments(0)