カテゴリ:mono×mono劇場(戯曲)( 3 )

③summer memories

秋の扇風機AとBの会話

扇風機A:やっぱり倉庫は狭いけど落ち着くわぁ。

扇風機B:久しぶりね、こちらへ帰ってくるのは。

扇風機A:夏のバカンスは楽しかった?

扇風機B:ええ、もう最高。ピカピカのスイートルームだったわ。
     お嬢さんは綺麗好きだから。

扇風機A:いいわねぇ。私なんて、熱帯のジャングルよ。

扇風機B:あそこは2階の西向きの部屋だからね。

扇風機A:息子のゲームやらのコードが入り組んでいて。まさに秘境よ。

扇風機B:よくぞ、ご無事で。

扇風機A:おまけに、いつも臭い足で私のスイッチを押すのよ。それもパンツ     いっちょで。

扇風機B:きゃ~はしたないわね。

扇風機A:私の前に座ると「あ”あ”あ”あ”~~~」ってバカのひとつおぼえみたいに
     でっかい声を出すし。

扇風機B:あはは、BGMにはならないわね。

扇風機A:私のこと、SPって呼ぶし。

扇風機B:映画の見過ぎなんじゃない。

扇風機A:それでかしら、白髪が増えちゃって。

扇風機B:やだ、それ、もしかしてほこりじゃないの?

扇風機A:ええっ! いやだ、ほんとだわ。
     も~奥さんたら、ちゃんと拭いてくれなかったのね。

扇風機B:お気の毒に。あの人結構雑だから。

扇風機A:自分の顔は念入りに手入れするくせに。

扇風機B:ふふふ、化粧してもそんなに変わらないのにね。

扇風機A:まあ、いいわ。来年の夏までここでゆっくりしましょう。

扇風機B:そうよ、もうすぐストーブさんが旅に出るから、
     羽根が伸ばせるわよ♪


 
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by soranosanngo | 2011-11-17 09:34 | mono×mono劇場(戯曲) | Comments(2)

②As Time Goes By

≪古時計(おじいさん)とデジタル時計(孫)の会話≫
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このイラストはイラストレーターT-KONI 様よりいただきました。http://illustration.artkoni.net/

じいじ:お~い、誰かネジを巻いてくれんかのう。
    大分時間が遅れてしもうた。

 孫 :年寄りってめんどくさっ!

じいじ:語尾を略すんじゃない、めんどくさい、じゃろ。

 孫 :ハイ、ハイ。

じいじ:ハイは一回!

 孫 :ハ~イ。

じいじ:それから、ワシの前では、「きもっ」も「うざっ」も御法度じゃ。

 孫 :りょうか~い!

じいじ:大体めんどくさい事こそ人生、いや時生において大切な事だぞ。

 孫 :そうかなあ……僕は簡単なのがいいけど。

じいじ:毎日一回ネジを巻くことで、
    ワシらは生きている実感を感じるんじゃ。

 孫 :僕は電池だからネジないし。

じいじ:ワシの振り子を見てみろ。

 孫 :……目が疲れるね。

じいじ:ネジを巻くからこそ、働けるんじゃ。

 孫 :めんどくさっ! じゃなくて、めんどくさいね、
    余計なもの、ついてて。


じいじ:針なんぞ生まれてこの方何周回ったかわからんぞ。
    毎日新記録を更新だ。そのうちシニアオリンピックに出てやる。
 
 孫 :僕はデジタルだし。

じいじ:減らず口をたたくんじゃない。

 孫 :友達の目覚まし君なんてもっとおしゃべりだよ。

じいじ:ああ、知っておる。あの子は滅法、けたたましいわい。

 孫 :でもね、人間に毎朝頭を叩かれてかわいそうなんだ。

じいじ:けしからん! 暴力反対!

 孫 :でも仕方ないんじゃない? 
    人間って自分で起きられないのに、わがままだから。

じいじ:ぼーん、ぼーん。

 孫 :そうやって親切に時刻を教えてあげてるのに、
    夜中の2時にじいじの鳴らした音に人間ったらびっくりしてたよ。

じいじ:そうか、別に驚かすつもりじゃないんだが。

 孫 :チョ~ブッキィ~とか言ってたよ。

じいじ:なんじゃ、それは。

 孫 :超不気味って意味だよ。

じいじ:略すんじゃない!

 孫 :ちぇっ僕が言ったんじゃないのに。

じいじ:ふぁーあ。なんだか眠くなってきたぞ。おおい、誰か、ネジを……。

 孫 :じいじ、しっかりして、眠っちゃダメだよ。

じいじ:ここは雪山か。

 孫 :そういえば、明日は粗大ごみの日って言ってたっけ。

じいじ:そ、それは大変じゃ、おーい、誰か~!誰か、ネジを……。
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by soranosanngo | 2011-11-17 09:30 | mono×mono劇場(戯曲) | Comments(0)

①お熱いのがお好き

ポットと紅茶の茶葉(ダージリン)の会話
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ポット  「やあ、逢いたかったよ、ダージリン」

ダージリン「昔みたいに、ダーリンって呼んで」

ポット  「ダーリン、どうして来てくれなかったのさ。僕のこと忘れちゃったのかと思ったよ」

ダージリン「忘れちゃいないわ。私だってここに来たかったのよ。でもね、わかるでしょ。ご主人さ      まが忙しくて、最近ティーバッグばかりかわいがるようになって……しくしく」

ポット  「ティーバッグ、忌々しい娘だね。それに下品だ。直接カップに入って仕事するなんて       さ。おかげで僕らは商売あがったりだ」

ダージリン「世の中は便利なものがもてはやされてる、スピード時代なのよ、仕方ないポット  「なんだよ、あんなやつのかたをもつのか」

ダージリン「怒らないでよ」

ポット  「ごめん、ちょっと熱くなりすぎたかな」

ダージリン「ううん、いいのよ、私ぐらぐらの熱~いのが好きなんだから」

ポット  「沸騰したお湯でないと美味しい紅茶にならないんだっけ?」

ダージリン「That right! 3人分だから、4杯、私を入れるわ」

ポット  「3杯じゃないのかい?」

ダージリン「いいえ、最後の4杯目は、あ、な、た、の、た、め、に」

※紅茶を美味しく淹れる茶葉量は「one for me,one for pot」などと申します。
 つまり、ティースプーンで数えて人数プラスワンということですが、
日本の軟水では人数分でも美味しく出来るようです
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by soranosanngo | 2011-11-17 09:24 | mono×mono劇場(戯曲) | Comments(0)