カテゴリ:現代短歌( 6 )

うわばみの中の象

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ゆるゆると解凍されて泳ぎ出す初夏のひざしに冷凍金魚

てのひらに埋め込まれた鉛筆の種 いつまで待っても芽が出ませんが

捨てました古い日記も捨てましたあとかたもなくみじん切りして

虎猫と眺める空にやる気ないメザシのようなこいのぼり

マジシャンの流れるような手の動き重力さえも手玉にされる

かもめ橋午前零時に猫たちの集会ありますご参加ください

人肌に溶けていくのはわだかまりバターソースにキャラメル添えて

満たされて膨らみきったかなしみを抱えて笑う古い掃除機

アボカドにくるぶしのような種ひとつ ふたつそろえば人間になる

階段をひとつとばしで駆け上がるように恋したいつかの私

散る桜ひとつひとつにメッセージNR NR No Return
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by soranosanngo | 2012-05-04 16:21 | 現代短歌 | Comments(2)

ほぼ等身大

入れ子だよ君は僕のマトリョーシカ
     金環蝕キーンカーンキーン



みかづきがぼんやりうすい場所がある
            爪工場で働くこびと


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by soranosanngo | 2012-04-18 15:14 | 現代短歌 | Comments(0)

空に綿菓子

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四十路でも占いページ気になって「素直になって」か、つぶやいてみる

 ※NHKラジオ番組「夜はぷちぷちケータイ短歌」で
  10月9日のお題「雑誌」で選ばれた一句です。
  ↑番組ホームページに載ってます♪

べたべたと甘い砂糖で埋められて幸せにもがいてる君は、蟻

本当は寄りかかりたい背もたれに甘やかされて戻れなくなるほど

こんぺいとう優しいコトバにころがされツノいつのまにとれてまあるく

約束が時のふるいにかけられて
        砂粒(さりゅう)になりて掌からこぼれぬ

ポケットのすきまをちょっと空けておく幸せひとつ分くらいのね

秋空にふわり綿菓子浮かんでる昔も今も私、甘党
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by soranosanngo | 2011-11-05 12:17 | 現代短歌 | Comments(0)

晩夏に時の種を埋めよう

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暗闇に光ひとすじ差し込んで屈折して知る魂の在り処(ありか)

網棚にあの日忘れたレコードは君に貸すはずだったサティ

失って敗れたなんて言わないで失恋なんて失敗じゃない

近すぎて見えなくなったら眼を閉じて瞳に映らぬ真実を視る

影法師二つ重なる夏の午後二次元の恋は陽炎に似て

合鍵をぽんと渡され掌(てのひら)はその重さには気づかぬふりで

時々は心も少し休ませよう二次発酵のパン生地膨らむ

垂直の壁にもいつかふり積もるほこりのように追憶のように

  2011.9.19
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by soranosanngo | 2011-09-19 10:23 | 現代短歌 | Comments(2)

Sadeを聴きながら

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Sadeを聴きながらアクすくい取り日曜の午後ゆるりたゆたふ


あの山に登れる気がし踏み出せば 気付く険しさに後悔してる


死についてふと考えてみたりする 眠りに落ちて目覚めぬことか


キリキリとネジを巻き過ぎ奏でたるオルゴールの音の哀しおかしさ


にぎやかな化粧落とした楽屋裏喜劇演じたピエロが終わる


わだかまり浮ぶ背中をゲンコツで怒突きたくなるそんな性分


問いかけに自由もいいとはぐれ雲孤独と言わぬ君は強いね


突然の非情を帯びて静電気今君の手に拒否られたんだ


さよならは美しく且つ軽やかに夕日投げかけその一瞬に
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by soranosanngo | 2011-08-01 20:23 | 現代短歌 | Comments(0)

たまゆらの月

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たまゆらの月の鏡の逢瀬には唯ひとりきり片割れ探す

終わりなきさざ波寄せてくり返し愛を確かめあっていたのに

風紋はKAZEが始めた愛の営みその陰影は砂の心か

雨の日のほんのわずかな湿り気にふくらんでいく感傷(センチメンタル)

切なさの積み木を重ね倒しては繰り返す夜が我を強くす

長い夜BGMはいらないの君の声だけあったらいいの

気がつけばノルウェイの森薄暮れて戯れしあの思い出さへも

月冷えてそちらの世界も冬かしらひざかけそっとかけてあげたし

触れずとも見えずとも聞こえなくても面影いつも胸にあるから

永遠の時間をゆるす静寂の際を漂う月の小舟で
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by soranosanngo | 2011-08-01 19:07 | 現代短歌 | Comments(2)