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PORTE-BONHEUR 

きのこから
かすかに放たれる
木の薫り

ふかふかのおがくずに
そっと置かれた
誠実なお守りが
息をしている

きのこ

木の子ども

木は森の子ども
森は山の子ども

朝な夕なに
ひとしずくの
わずらいもなく
命を産んでいる
霧に包まれて
人知れず

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詩人サークル群青十月のお題「山」への提出作品
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by soranosanngo | 2014-10-29 10:55 | | Comments(0)

ヘタを競い合おう! と題してTwitter詩を投稿したものに
タイトルをつけてまとめてみました。
ヘタってものすごく奥深いなあと思います。
ヘタウマとか世間では評価されてるけど、意図のない純粋なヘタってもしかしたら
大人にはたどり着けない境地なんじゃないかって思ったり。

「孵化」
 下手という卵をあたためたら
 上手が孵った
 上手という卵をあたためたら
 下手が孵った
 いずれにしても
 あたためる時間あたしは幸せだった


「できるだけ長く」
 柿のヘタは
 いつか樹とさよならしなくちゃならないことを知っている
 知っているから
 今日も
 一生懸命くっついている
 必ず来るお別れのときのために
 ヘタとして生きている

「君はヒーロー」
 上手くなりたいという欲求はそんなに悪いものじゃない
 それがなければ人は努力しないだろうから
 でも逃れられない煩悩でもある
 レギュラーになれずずっとベンチを温めていた君
 下手だけど野球をあきらめなかった君
 下手ということに胸を張ってほしいと思う

「感謝状」
 食べてもらえないので
 いつも捨てられるだけの
 ボクたちに
 こんなに陽が当たる日が来るなんて!
 へたもすてたもんじゃないね
 へたに生まれてよかった
 ありがとう
 柿のへたより

「だれでもしんまいだったときがある」
 ほーけっ
 へったぴなうたをうたう
 うぐいすが
 ひごとにうまくなりました
 ほーほけきょ
 へたがなつかしいのはなぜだろう
 うまれたての へた
 もうもどれない へた

「テスト範囲」
 へたらっち
 へたりたい
 へたるとき
 へたれば
 へたろん
 へたの ら行変則活用
 はーい、ここ、テストに出るよ
 マーカー引いといてね♪

「いってらっしゃい」
 へたというものに行き詰まり
 ためしに へた、と唱えてみた
 へたへたへたへたへ……
 行き着いた場所は
 たへという、ちょっとさびれた港だった
 おーい、船が出るぞー
 たくさんのへたを詰め込んで

                 愛車ラパンとコスモス 
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by soranosanngo | 2014-10-17 10:43 | | Comments(0)

 日々をたたかいぬくために、実弾というものを人は持っているのだと思う。
 端的にいえば、労働をして金を得ることにくくられるような現実を生きるために必要なもの。

 この小説には「砂糖菓子の弾丸」を撃ちまくるちょっと変わった転校生が出てくる。けれど砂糖菓子で想起させるような、メルヘンでも甘い話ではない。辛い話だ。

 海野藻屑は父親に虐待されて育つものの、父親の愛を求め続けている。虐待されているからこそ、ともいえるのだろう。(そこをストックホルム症候群という特異な心理状況にからめて説明し、なるほどと思った。家庭とは最小の密室であるのだから)
 藻屑の砂糖菓子の言葉はどこまでが嘘なのか本当なのか、わからない。虐待によってできた痣を「汚染」だという。自分のことを「人魚」だという。安心を手にいれたいと思うものの、そこから逃げるすべを持たない高校生。 けれどどうにかして逃げて生き抜いてほしかった。

 ひとつ気になったのは、とある問答を引き合いに出して、藻屑の父親がまるで特別な人間のように描かれていたように感じたこと。可愛がっていた犬、そして娘までも殺してしまうなんて、悪魔じゃないか。心理学ではサイコパスとか呼ばれているそうだが、特別な人間なんかじゃないと言いたい。
 これは小説、フィクションだけど実際にそういう事件ってあるんだよなあ。

 世の中のニュースで、子殺しなんて珍しくないし、心のどこかで「ああ、またか」と悲しんだり怒りがこみ上げてくるものの、翌日には忘れ去られてしまう類のものであると思う。「生き残った子どもだけが、大人になる」けれど大人になってからもたたかいは終わらない。としても、そんな世界を生きる権利はどの子どもにもあったのだ。
 藻屑の世界は理不尽きわまりなかったけれど、救いは主人公の「あたし」のなかでこれからも生きていくのだということ。せめてそう思わなければ悲しすぎる。

 2014.10.8.読了

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by soranosanngo | 2014-10-09 10:30 | 読書ノート | Comments(0)

Twitter連詩

宮尾節子さん主催のTwitter連詩・「詩のレシピ pwGT組 」に参加させていただきました。

詩を書く人って(おそらく)自分の内面と向かいあう時間、とても孤独だったりすると思います。
いいかえれば孤独が詩を書かせてくれるという側面もあるのですが
「連詩」というものは、他の方々の詩につなげていくということで、「つながっている」という
連帯感がとても嬉しい体験となりました。
学生時代のクラブ活動を思い起こさせるような…。
また他の方の感性や発想など、おおいに刺激となりました。
またひとつ詩作の抽斗が増えたような気がします♪


 点と点ひいて星座になるように詩と詩をつなぎ人もつながり

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☆私の作品、140字Twitter詩をまとめてみました。


 「手の仕事」

新米を握る母の手は 燃え始めたかえでのように色づき
かぐわしい湯気を蹴散らしながら 踊ってみせる
「熱いうちに握らないと美味しくないのよ」と
まとわりつく子に言いながら あかい手で
 


 「Buono!」

アルデンテの対岸にある
うですぎて くたくたになったものが
弱った私の前で 湯気をたててます
麺としては かなり不味いです
愛としたなら かなり優しいのです


 「ホットケーキ ムーン」

月を食べていた
ふうわりと焼けたそれにバターをのせて
食べ尽くして 夜は真暗闇に戻る
目覚めて
朝、心臓に手を当てると
そこで月がごとごと動いた



 「夜市」

アセチレンランプの猥雑な灯
雑踏 ざわめき 屋台の群れ
従姉妹の手にはりんご飴
夜市に集う人の口は赤く滴り
迷子 鳥居 金魚の群れ



 「珍味たぶ」

たぶん、の中のたぶを
いまいましく思ったこともあったけど
今朝は おいしくいただきました
それは みみたぶのたぶにも似て
ふにゃっと優しい味でして
断定しない、あなたの たぶん

  ※ma-さんより「ばすたぶ」をいただきました。
  「たぶ」につきまして、随時募集中です!
    ――たぶ蒐集・愛好家より

 


 「いのり」

生きていることを抱きしめれば
したたりおちる みず
あなたのことを 生き抜けなかったとは思わない
更紗を敷いたテーブルに
朝とれたてのいちじくを捧げる 供物



「食べてしまいたいほどじゃね」

赤子の手をぱくりと食べた義父の無邪気な愛情を思い出している
今日はおやじの誕生日だと夫が言うから
お義父さん、あの赤子はもうすぐ十九才です
長い旅の中で一日たりとも食べない日はなかった私は
おそらく本当の絶望を知らぬまま生きてきたのでしょう



「死は日常のなかに在る」

通夜葬式の案内が朝のスピーカーから流れ 犬が遠吠えする
香典の額を夫に確かめ いつもどおり洗濯物を干す
いつもは遠い自分の死というものを引き寄せる 
考えても仕方のない事を考える
晴れなら人は洗濯するだろうし 雨なら傘をさすでしょう
いつもどおり
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by soranosanngo | 2014-10-05 10:34 | | Comments(0)

スケッチノート

やわらかな鉛筆の芯で
ここにはいない君を
スケッチしました
身体をおおう毛は
鉛筆を少しねかせてふんわりと
ひげは鉛筆を立てながら
細い針金のように
それは君の
生きることにまっすぐだった意思のようです

君がいなくなっても
鉛筆と紙さえあれば
君に逢うことが出来ます

庭の紫陽花が
今年はなぜか返り咲きました
秋というものの優しさに
――濃淡のあわいがまじりあう
よりそうような
淡い薄緑色の花は
ちぎれてゆく
仔猫のようなあの雲からも
見えていることでしょう
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↑私の家の屋根と庭から写した空です。

詩サークル「群青」八月のお題 猫 への提出作品
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by soranosanngo | 2014-10-01 12:01 | | Comments(0)