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祝日の夕刻
なぜだか墓の話になった
娘が
「母さん、死んだらあの墓に入るの?」と訊く
あの墓とは
小高い山の中腹にあり
細い道には車は入れない
人ひとり通るのがやっとで
いつだったか犬を連れていったが
その犬さえも足を踏み外して
首のリードであやうく首をつりそうになった
あの墓のことである

亡くなった義父が建てた
新しい墓と墓誌と
私が嫁いだ家の祖先の方々が眠っている
苔むしたいかにも古い墓が並んでいる

もう山で農作業をする人もなく
生い茂った木々で
昔は見えていたという瀬戸内の海は
ほとんど見ることが出来ない
昼でも薄暗い空間にある

道々鎌で
棘を生やした野いばらを刈ってゆくが
また来る時は元通りになっていることだろう

「そういうことになるね。気が重いけれど」
そう云いながら
墓の下にいるものはただの骨じゃないかとも思う
それならば
私の実態は一体どこへゆくのだろう
「だったら離婚する? でも死んだあとのことなんて、どうでもいいじゃない」
娘が笑う
16歳にとって死とは遠い世界のことなのだろう

かつて私がそうだったように






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by soranosanngo | 2016-09-23 10:42 | | Comments(0)

詩「彼岸花」

夫の転勤で引っ越しした奈良で
借りた家で
ある日
洗濯物を干そうとして
庭に出てみたら
たくさんの彼岸花が
なぜか横一列で
一斉に咲いていた

昨日まで
その片鱗さえなかったはずなのに
それはもう驚きを通り越して
恐怖に近かった

薄いカーテン越しにのぞいてみると
あの赤もまた私をのぞいている

花なのに葉がないのも怖い
複雑な花の成り立ちが
永遠に解けそうもない
迷路のようで

すっくと立っているさまは
まるで人のようでもあり

彼岸花の花詞は
「再会」だという
あの日彼らは
私に再会するために
過去から来てくれたのだろうか
あなたのことを覚えてさえいない私をたずねて

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by soranosanngo | 2016-09-22 12:19 | | Comments(2)

詩「おとづれ」

いつかみないなくなる
命のゆくみちで
宴のような季節はゆき
果たして秋なのだろうか

しろいひかりにつつまれて

指先に触れた肘が
かさかさしていたので
クローゼットを開いて
風を入れる

ここには
窓がないから
季節もない
腕や足をぶらさげたヒトガタたちは

わたしがいなくなるまでまっている





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by soranosanngo | 2016-09-17 12:17 | | Comments(0)

濡れたループ状の細胞に
うすい陽がさしている
やがてゆっくりと
乾き
やわらかく
立ち上がる
羽に似た彼ら

空を翔ぶなら
晴れ晴れとした青空がいい
けれど
白いうすぐもりの空は
休息に
ちょうどいい

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by soranosanngo | 2016-09-12 09:56 | | Comments(0)