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詩「熾火」

汽笛のような音が聴こえて
夜は
とても長くなる

6月の匂いのするシャンプーは
猫には不評のようで
寄り付かれない人間は
孤独であったことに今更に気づく

誰がゆくのだろうこんな真夜中に
それとも誰もゆかないのだろうか

ニホンオオカミは絶滅なんかしちゃいない
考えてごらんよ
日本にはまだまだたくさんの森がある
野生はしぶとく生きながらえていくのさ

遠吠えのような音が聴こえて
牙さえ失ったわたしは洞窟でおびえ
小さな液状の熾火だけを
たったひとつの拠り所にしている
脆弱な生き物が
安らかな眠りつくには
心拍数が高すぎて
夜は
ますます深くなる

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by soranosanngo | 2017-06-22 12:37 | | Comments(0)

俳句・聲四句

助けてが浮かんで沈む花筏

鈴蟲がたどりつくのは人の耳

風鈴の心はいつも宙ぶらりん

貝殻は美しき死骸となりて鳴る


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by soranosanngo | 2017-06-05 09:51 | 自由律俳句 | Comments(0)

詩「私の薔薇」

朝が来た
満開の薔薇たちは
雷雨の過ぎたあとで
散りかけてなお
満開だった

いつか朝は来ない
そのとき
永遠に失われた朝を
私は知らないまま
朝を乞い続けるだろう

サンテグジュペリは
夜を飛び続けている

はなびらの指先はハンドベル
樹からほどけるたび
小さな音でゆらぐ
棘は凛として太陽に向かい
触れるものを傷つける

私の薔薇は満開のまま
散ったあとも
満開のまま

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by soranosanngo | 2017-06-02 08:40 | Comments(0)