「鍵のない夢を見る」辻村深月

朝、テレビをつければ、似たような、どこかで聞いたような事件が報道される。そのたびに珈琲を淹れる手を止めて、聞き入ることもあるけれど、それも5分後には、たいてい忘れてしまう。当事者ではないから。
新聞であったら三面記事と呼ばれるような類の犯罪。をおかしてしまう人々の心の内側を描いた短編集。

この作者の本を読んだのは初めてだったが、どこか角田光代さんに似ていると思った。

その中の一篇「芹葉大学の夢と殺人」夢は見ればいいというものではない。もし見るのであれば、少し手の届くような距離にあるものにしたほうがいい。夢というものはそれが遠ければ遠いほど狂気をはらむ。
夢を諦めることが出来ずに、道をあやまってしまう男の子とそれに翻弄されてゆく女の子。
きっと彼女は彼に、彼の夢に、復讐したんではないかと思った。

鍵のない夢は、現実との境がなくなり、いつしか現実を侵食し、怖いものである。
そんな怖さを覗き見るような面白さ(けれど、というか当然というか後味はあまり良くない)がこの本にあった。
2015,3月読了。

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by soranosanngo | 2015-03-30 11:31 | 読書ノート | Comments(0)