読書note「夏暮れ」西原真奈美

熱にあふれた夏が暮れてゆくときは、ひどく長いように思えるけれど、
過ぎ去ってみればあっけないほど、遠い。

「誰といても寂しいのに/小さな匂い袋を密かに隠し持つのは何故だろう」
「半音さがらないまま共鳴して」(「約束」より)

作者のいる地点をまるで共有しているかのような錯覚を覚える。
遠いのだけど、今の私にとても近い。
いくつもの繊細なフレーズに立ち止まりながら読む。
詩をよむ、ということのたのしさがあふれてくる。
とても素敵な詩集。

夏を想うのには、そのさなかにいるよりも、そこから一番遠い地点、冬、という場所が、実は一番似つかわしい季節ではないか。
まさに今は冬。
夏暮れ、それは人生のある地点のようでもあり、夏を手放してゆく哀しみだけともいえない、美しく豊かな時間のようでもあり。
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by soranosanngo | 2015-12-23 10:36 | 読書ノート | Comments(0)