詩「小さな花束」

娘が通う高校では
一年生が卒業生へ手作りブーケを贈る
継がれたきたきまりごとがあるという

卒業式にそれは
三年生が着る最後の制服の胸に
ピンで留められ
その晴れの日を飾る

「プレゼントフォーユー」
いつものように部活帰り
遅く帰宅する娘を
バス停まで迎えにいったら
そういって私に渡された
生花で作られた小さなブーケ
「今日、練習したんだ」
蘭の花とそれを取り囲むかすみ草

ほとんど休みのない部活
なかなか上達しないジレンマ
厳しい顧問の言葉
娘のこの一年を彩ったのは
そんな風当たりの中で産まれた愚痴や泣き言
いつも聞くだけの私
それでも
「優しい先輩がいるから、なんとか続けられるかな」
その言葉をなんと有難いと思ったかしれない

人は人と出会って何かでつながる
嬉しいことも
悲しいことも
学校という期間限定の時間の中で

それらが
長い人生の中で忘れられない宝ものに
なるとしたのなら

「ありがとう」の言葉を秘めて
小さなブーケを飾られたその人に
私もありがとうを贈りたい
生花は翌日しおれてしまうとしても
目にはみえない何かが残るだろう
人から人へ
誰かから誰かに
継がれてゆく小さな花束にシャッターを切る
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by soranosanngo | 2016-01-29 10:39 | | Comments(0)