詩「水底で」

このからだは小さな海
わたしという
不確かな魂が漂っている
ときに荒波にさらわれ
もがいた先
夜は凪いでいた

たどりつき
息をとりもどす

そうして酸素が満ちてゆく

生と死の境目のあいまいさのなかで
生きていることを
かたくなに確かめる

月明りに透かせてみる
水底から
小さなあぶくたち
何かが息をしている
あれは私のうろこ、だ

ふいに
うろこがはがれた時の痛みが
よみがえるけれど
――忘れなさい、再生にむかって
かつて
私であったものがささやく
ささやきは光、でもある
夜という闇に際立つ光であった
奇跡のような
[PR]
by soranosanngo | 2016-04-30 11:00 | | Comments(0)