詩「あ、い」

ひらがな、が落ちてくるように

雪が降ってくる

地上にたどり着いた雪は

みずから境界線をなくし

透明な水に戻り

土の中で眠る

春に

それらは芽吹き

ぬかるんだ田んぼで

こどもたちが

泥だらけの

あ、をひろう

い、をひろう

ひろいあつめて

無邪気に積み上げる

柔らかな曲線で描かれた文字は

互いに絡み合い

空を目指す

風に

あ、は飛ばされて

い、も飛ばされて

或いは鳥に啄まれて

行方知れずになる

そしてふたたび

凍てついた季節に

手のひらにとまった雪がある

人という生き物の体温で

あっけなく溶ける仕組みの雪は

やはり

あ、い、の

種だと思うのです


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by soranosanngo | 2018-04-17 12:11 | Comments(0)