読書note

村上春樹・著「アンダーグラウンド」「約束された場所で」を読む。ノンフィクションを読むのはすごく久しぶりだった。普段は小説を読むことが多く、それは現実を忘れてしばし物語の世界を楽しむことが好きだから、だと思う。ノンフィクションは本当にあった現実だ。自分が営んでいる現実を遥かに凌駕してしまうような現実がどーんを来るので、読後は気持ちが重くなる。

両著は地下鉄サリン事件に関する本で、被害者、関係者へのインタビューが載せてある。
文字を追いながら、その時々に、証言さえすることさえ叶わない亡くなられた被害者の方々のことを想ったりもした。

事件が起きた平成7年3月20日は私が結婚するちょっと前で、毎日忙しく働いていて、テレビのニュースでちらっと事件のことを知ったような気がする。その時はそんなに大変な事が起きたという実感はまったくなかったと思う。
そのあと、東京で働く友達が「あと何分遅く家を遅く出てたら自分も被害に遭ったかもしれない」と言っていて、「紙一重だったね。よかったね」という会話をしたことを覚えている。
その真反対に、紙一重で被害に遭遇してしまったケースがあって、その紙一重ってなんの違いなんだろうと思う。思うけれど答えはない。
その記憶の一点が長い時を経て、この本につながった気もする。
長い時、宇宙の時間からすればささやかな一瞬にしかならないけれど、その間に結婚し、二人の子どもを産み、病気を得た。
今、私が生きていることも、なんらかの力が作用したかどうかはわからないけれど、紙一重の結果だったのかもしれない。

ある日、それまであった日常が、本当に理不尽に奪われてしまうという怖さ。怒り。悲しみ。
それに対して何か出来るかといえば、何も出来ない。ただ日常を過ごすだけ。
そう思うと、毎日35℃を超える酷暑の日々を熱中症の心配をしつつ汗をかきながら生きているだけで幸せなのだと、思えなくもない。
(けれどやっぱり秋が恋しい)

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by soranosanngo | 2018-08-09 12:26 | 読書ノート | Comments(0)